クロザリル治療とは
統合失調症の方の中には、さまざまな薬をきちんと服用していても幻覚妄想などの精神症状などがよくならなかったり(反応性不良)、副作用が生じやすいために必要な量を飲めなかったり(耐容性不良)する「治療抵抗性統合失調症」の方がおられます。
クロザリル(一般名クロザピン)はこうした治療抵抗性統合失調症の方にも有効性が証明された唯一の薬です。クロザリルは多くの国で使われており、日本には2009年に導入され多くの方に用いられています。
クロザリル患者モニタリングサービス(CPMS)
クロザリルにはいくつかの副作用があり、定期的な採血や心電図の検査が必要です。特に無顆粒球症(白血球のうちの好中球の数が減少し、好中球を主とした顆粒球がほとんどなくなった状態)を早期に発見しその危険性を最小限にとどめるため、クロザリル患者モニタリングサービス(CPMS)という制度が設けられ、定期的な血液検査が義務づけられています。
クロザリルの治療効果
当院は、2014年7月にクロザリル登録医療機関となり、登録医師による治療を開始しました。2024年3月末までに81名の方に導入し、63名の方が継続しています(15名が中止、3名が転院)。退院して通院中の方が27名、入院中の方が36名です。行動制限(隔離や拘束)をしていた方(中には1年以上の長期行動制限の方もおられました)はほぼ全員行動制限が解除となっており、治療抵抗性統合失調症に対するクロザリルの効果が高いことがわかります。隔離室から出て一般病室で過ごせるようになったり、長期入院していたがグループホームや自宅へ退院し、デイケア通所や作業所通所を継続できている方もおられます。もちろん、クロザリルで劇的によくなった方もおられる一方で、クロザリルに変えても改善が見られず変化しない方もおられます。クロザピンの治療反応率は60%前後と言われていますが。他の薬より再入院率は低く、治療継続率は高いことが証明されています。
受診希望の方へ
クロザリルの導入には入院が必要です。詳しく聞いてみたいという方は、主治医もしくは外来看護師へご相談ください